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「iPhoneは強いと再認識」 榛葉副社長に聞く、ソフトバンクのモバイル戦略

 iPhone 3Gから4まで独占的にiPhoneの取り扱いを続けてきたこともあって、ソフトバンクはiPhoneのシェアが他社よりも高いキャリアだ。必然的に、毎年の“iPhone商戦”には力が入る。2016年は、他社に先駆けて20GB、30GBプランの「ギガモンスター」を導入。iPhone 8/8 Plusの発売時には、さらに容量を上げた50GBの「ウルトラギガモンスター」を新設した。これらは、単に容量が上がっただけでなく、既存のプランと大きく料金が変わらないのも特徴だ。
 また、ウルトラギガモンスターと同時に、「みんな家族割」も発表した。これは、同一住所の複数人で契約すると、ウルトラギガモンスターの月額料金が割り引かれるというもの。ソフトバンクはその前身となるボーダフォンやJ-フォン時代から家族割の適用範囲が緩く、同棲なども対象と認めていたが、それをあらためて訴求し、売りにつなげている。
 秋冬商戦では、この料金プランの他に「Xperia XZ1」や「AQUOS R compact」などのAndroidスマートフォンも導入。iPhone 8/8 Plusで開始した、4年の割賦と下取りを組み合わせてお得に機種変更できる「半額サポート」を、Androidにも適用することが決まった。半額サポートは、月月サポートを残したまま4年割賦にでき、毎月の負担額が下がるのと同時に、2年後に残債無料で機種変更できるのがメリットだ。
 こうした各種施策を導入したソフトバンクだが、秋冬商戦の緒戦ともいえるiPhone 8/8 Plusの反響はどうだったのか。また、11月に控えたiPhone Xをどう見ているのか。秋冬商戦に向けたソフトバンクの取り組みを、同社の代表取締役副社長兼COO(チーフ・オペレーティング・オフィサー)の榛葉淳氏に聞いた。

●iPhone Xの方が売れる可能性は十分ある

―― 最初に、iPhone 8/8 Plusの反響を教えてください。2017年は例年とは異なり、iPhone Xもありますが、何か違いがありましたか。
榛葉氏 結論から言うと、やっぱりiPhoneは強いと再認識させられました。これが結論であり、お伝えしたかったことです。今回は、初めてiPhone 8/8 PlusとiPhone Xがスプリットし(分かれ)ましたが、最終的には5対5、6対4、4対6になっても、7対3や8対2のような比率にはならないと思います。
 今、ちょうど半分(iPhone 8/8 Plus)がリリースされた段階ですが、iPhone Xの見込みを含めれば、ほぼ昨年(2016年)のiPhone 7に近い数のご支持をいただいています。もちろん、iPhone X次第ということもありますが、iPhone Xが2割、3割ということはないと思いますので、勢いを感じますね。
 確かに、数年前まではイベント的に、銀座や表参道、家電量販店に並ぶお祭り騒ぎもありましたが、今はそれもありません。今は計画経済のようなものですからね。今回は「あなたファースト」「ストレスフリー」を掲げましたが、オペレーション1つ取ってもそうです。中には並んでくださった方もいますが、ほとんどの皆さんはネットで予約いただき、何日、何時からというふうになっていました。
―― iPhone Xの見込みが相当高いですが、年内の生産台数がかなり低くなるのではという報道もあります。十分な数をそろえられそうでしょうか。
榛葉氏 われわれも買いたい、欲しいと思っています(笑)が、こればかりは、直前まで分からない。ただ、日本に1台でも多く持ってきて、お待ちいただいているお客さまにお届けしたいという、強い気持ちはあります。
 実際、当初の予測よりiPhone Xを期待されている方が多いかなというところがあります。もちろん、iPhone Xを見てからiPhone 8/8 Plusにする方もいるとは思いますが、品薄問題は別にして、iPhone Xの方が多くなる可能性は十分あります。いずれにせよ、iPhone 8/8 Plusでご好評いただいているプログラムはiPhone Xにも適用して、これを1人でも多くのお客さまにお届けしたいと考えています。

●1年でも2年でも新しいiPhoneに乗り換えしやすく

―― iPhone 8/8 Plusの導入に合わせて、「半額サポート for iPhone」を始めました。これは、なぜでしょうか。
榛葉氏 繰り返しになりますが、考え方としては、「あなたファースト」「ストレスフリー」をキーコンセプトにしています。ある意味当たり前のことかもしれませんが、これだけデバイスが素晴らしくなり、機能も上がり、いろいろなことができるようになった中で、もう1回、ストレスに思っていることは何なのかを調査しました。
 他社には「ピタットなんとか」のようなプランがあり、それに追随しないのかとよく聞かれます。もちろん、他社は注視してはいますが、それ以上にわれわれをご支持いただく方が何を求めているのか。それを何回も議論しました。そこで、やはり挙がってくるのは、月々のご利用料金です。iPhone 8/8 PlusやiPhone Xのデバイス価格が高くなることは分かっていたので、毎月お支払いいただく価格を、なんとか知恵を絞って安くできないか。お支払い料金のストレスフリーを考えたわけです。
 半額サポートは、単純に支払いの回数を倍にするので24回を48回にすれば1カ月あたりの金額は半額になります。さらに、われわれの場合には月月割もつきます。他社も追随されてきましたが、そういったものと比べても、価格的には優しくなっています。
 ただ、それだけだと、単に分割の回数が増えただけになってしまいます。通常は2年で乗り換えを考える方が多い。iPhoneの老舗として、国内で独占的にやらせていただいた経験からも、やはり2年ぐらいが大きなモメンタムになることは分かっていました。そのため、2年後に「次の次のiPhone」があるときは、残りの24回の料金を私どもで負担させていただく。
 お客さまからすると、契約いただいた翌月から2分の1の価格になって月月割もつき、2年後には残りの割賦の支払いが免除されることになります。実際、iPhone 8/8 Plusの発売から3週間ぐらいたちましたが、非常に好評で、狙い通りにお客さまに受け止められています。
―― 端末価格のガイドラインが改正され、2年前の同程度の端末の買取価格が実質価格の下限になりました。この影響もあったのでしょうか。
榛葉氏 ご指導はご指導として準拠しています。ただ、今回は、それよりもどうやったら月々のお支払い金額が安くなるかを工夫しました。お客さまへの見え方や、ショップの運営が複雑になる形は避けるべきだと思い、月月割も今までと同じように適用しています。
 メンバーにお願いしていたのは、資料がなくても、耳で聞けば理解できる仕上げにしないといけないということです。割賦を48回にすると、取りあえず毎月の支払いは2分の1になるので、2年後に新しいiPhoneに機種変更するかどうかご判断いただければいいような形にしました。
―― 確かに、利用しないならしないで残りを払うだけなので、ユーザーが損をするわけではないですね。判断を先送りにするだけなので、取りあえず入っておいてもよさそうです。
榛葉氏 応用編として、1年での機種変更も作りましたが、あれも単純です。さすがにあと36カ月分の負担はできないので、そこは後12カ月分をお支払いいただければ、残りはソフトバンクが負担するという形にしました。まずお申し込みいただき、1年後にどうしても機種変更したというときはそこでしてもいいですし、2年後でもいい。お申し込みいただくときに、1年にするか、2年にするかの判断をしなくてもいいということです。

●50GBに正比例して値段が上がったら意味がない

―― 一方で、同じキャリアでないと当然利用できないので、さらにキャリア間の流動性は低くなりそうな気がします。
榛葉氏 このプログラムを違う視点で見ると確かにそうなりますが、(ソフトバンクの考えは)月々のご負担を軽減したいというところにあります。囲い込みというより、とにかく最新のiPhoneを、より軽い負担で使っていただきたいという考えです。
―― 各社がアップグレードプログラムを入れると、MNPが減りそうですが、実際はいかがでしょうか。
榛葉氏 数字は発表できませんが、新規のご指名が多く、好調です。総販は機種変更と新規の合計ですが、新規だけを見ても満足できる水準で、思いが伝わったと感じています。既存ユーザーだけでなく、今回のプログラムがいいと思い、4人で申し込んでくださるような方もいます。
―― そこは家族割が効いているのでしょうか。この流れで、ウルトラギガモンスターについての導入経緯を教えてください。
榛葉氏 毎月、月末になると容量の心配をされる方がいます。それを受け、ちょうど1年前にギガモンスターを発表しました。当時も、そんなに必要ないのではないかという声はありましたが、1年たって分かったポイントが2つあります。
 1つは、(ギガモンスター契約者の)28%の方が上限に達している。一気にそのレベルまで来てしまいました。2つ目は、申し込んでいただいた方のアベレージを見ても、過去1年の倍ぐらいはご利用になっているということです。いかに、今まで我慢して使われていたかということだと思います。
 そこで今回は一気に50GBにしました。単純計算ですが、動画であれば200数十時間、30日で割ると、1日あたり7時間程度になり、それを元に、発表会では「実質無制限」とお話ししました。せっかくiPhoneを使っていただき、いろいろと見たいものがあるのであれば、Wi-Fi環境がなくても見ていただきたい。僕の顔色を見ていただければ分かると思いますが、これも驚くほどのご支持をいただけました。
 もう1つ重要なのが、50GBを作って値段がそれに正比例していたら、意味がないということです。今回は30GBで8000円(税別、以下同)だったところを、20GB増やして50GBで7000円にしました。容量が増え、1000円ディスカウントしているのです。また、今回は家族でのお申込みが増えています。1人増やして夫婦やお子さんと一緒に申し込めば、(みんな家族割で1人あたり)5500円になる。4人だと5000円になるので、料金は5GBと同じです。大盤振る舞いという声もいただいていますが、50GBという単位で価格もそれぐらいにしないとご満足いただけないということです。
 ファミリーの定義も、日本の場合、血縁や戸籍になろうかと思いますが、今回は同じ住所でいいことにしました(ソフトバンクは以前から同一住所を家族と定義している)。典型的な例では、ご結婚する前に一緒に住まれていて、厳密にいうと籍は入っていないが一緒に生活しているという人で、これはもう家族と見なします。他にも、スポーツの世界や芸能の世界で、寝食を共にして一緒に住んでいる方。シェアハウスで一緒に住まれている方もそうです。ただし、何らかの基準がないといけないので、住所で切らせていただきました。ご家族で入っていただければ、末永く使っていただけます。

●Y!mobileとのすみ分けは?

―― 現状を見ると、サブブランドのY!mobileの勢いが強いですが、ここはどうすみ分けしているのかをあらためて教えてください。
榛葉氏 私自身は、ソフトバンクがメイン、Y!mobileがサブという思いはなく、完全に両輪だと考えています。(飛行機で)エコノミーが格下かというとそうではなく、例えば3時間ならエコノミーでいいとあえて選び、その分ホテルを豪華にする方もいる。逆に、着いたらすぐに仕事をしたいからと、ビジネスクラスを選ぶ方もいます。
 Y!mobileはエントリー層のお客さまで、まず使ってみたい、最新の端末でなくてもいいという方にお勧めしています。MVNO、格安SIMと呼ばれるいろいろな会社がある中で、30%から40%程度のご支持をいただいていますから、完全に両輪です。
―― そこからソフトバンクにアップグレードしてもらいたいとお考えでしょうか。
榛葉氏 まずY!mobileで「iPhone SE」や「iPhone 6s」をお使いいただき、やはりそれでも最新のiPhoneにしたいというときは、乗り換えサポートで約4万円分をサポートしています。(Y!mobileからソフトバンクに)乗り換えるときに少しご負担があるので、同じ兄弟として手厚くしています。結果、Y!mobileからソフトバンクへの乗り換えも増えていますね。一方で、Y!mobileも家族割などの条件を満たせば、料金が1480円からになります。これを1つのブランドでやるのは大変ですからね。
 メインといっているのは、店舗が4000あることで、これは他のMVNOにはないものです。スマホは、結局サポートがないときつい。Y!mobileは全国各地にサポートの拠点があり、これもご支持いただけている理由です。今は、ソフトバンクとY!mobileの複合店もどんどん展開していて、お客さまにお越しいただいた際に、これなら料金の安いY!mobile、それなら最新の機種があるソフトバンクというように(セールスを)やっています。
 もう1つ、サポートはあまりフォーカスされませんが、ソフトバンクではスマホアドバイザーを地道に立ち上げてきました。ソフトバンクショップには、新規、機種変更などのお相手をするスタッフがいますが、それとは別に、全国で700人以上のスマホアドバイザーが常駐し、お客さまからのありとあらゆる質問にお答えしています。
 そのスマホアドバイザーの方々をヒアリングすると、彼らのストレスになっていることがありました。それが、iPhoneの故障受付ができないことです。使命としてお受けできないとアナウンスするものの、一般常識だと、テレビでも冷蔵庫でも、まずは購入されたところに行きます。アップルストアがある都内ならまだいいですが、地方だとかなりの時間がかかってしまう。そこで今、180店舗からスタートして拡大をしているところですが、故障受付もショップでできるようにしました。こんなところも、踏み込んでやらせていただいています。

●Androidは特徴付けをしていく

―― Androidの新端末も発表されました。ソフトバンクは最も早くiPhoneを扱い始めたこともあり、iPhone比率も他社に比べると高いと思いますが、Androidはどうされていくおつもりでしょうか。
榛葉氏 これは、本当に強化していきたい。Androidをご支持いただく方もいて、やはり両輪です。ただ、以前のように何メーカーにもお声がけしてリリースすればいいかというとそうではなくなってきているのも事実です。メーカーはある程度絞り込んでいきますが、絞り込むがゆえに、そのメーカーと深い特徴づけをしたものを出していかなければいけないとか考えています。ソフトバンクのAndroidならこういうことができるのかというものは、逐次出していきたいですね。
―― 最後に、最近だと通信、特に速度のアピールがあまりないような気がしますが、これはなぜでしょうか。
榛葉氏 最高速度よりも、密集地帯でも安定して使えることを重視しているからです。ユーザーは5Mbpsなのか20Mbpsなのかを毎回チェックしているわけではありません。見たいものが、いつも通り動くかというところに集中しています。技術的には新しいものを追求していますが、本当のユーザーのストレスフリーは何か。それを考えたときに出した答えは、人が密集したエリアでも普段通りにお使いいただけるということです。ウルトラギガモンスターを50GBにしようと意思決定できたのも、そうした技術の支えがあったからです。

●取材を終えて:徹底して複雑さを排除したソフトバンク

 分離プランの「auピタットプラン」「auフラットプラン」を導入するのと同時に、上昇する端末代を抑えるために「アップグレードプログラムEX」を開始したauに対し、ソフトバンクは徹底して複雑さを排除した。一方で、ドコモは既にシェアパックで家族でのお得さを打ち出している。これが、2017年のiPhone商戦を俯瞰(ふかん)したときの構図といえるだろう。
 確かに榛葉氏が述べていた通り、1年、2年とあらかじめ決めず、機種変更したいときに機種変更できるソフトバンクの「半額プログラム」は、ユーザーフレンドリーだ。50GBのウルトラギガモンスターや、みんな家族割も、条件が合えば非常にお得だ。ヘビーユーザーであればあるほど、魅力を感じる印象を受けた。ライトユーザー対策が手薄になっている感もあるが、ソフトバンクにはY!mobileもある。ソフトバンクとY!mobileの両方を売る複合店舗で、どちらのユーザーも獲得できるようにしているのは、合理的な戦略だ。
 一方で、iPhone以外に目を移すと、Androidがまだ手薄な印象を受ける。現時点で発表済みのモデルを見ても、「AQUOS R compact」を除けば、他社にある端末が多く、厳しい見方をすれば、あえてソフトバンクを選ぶ理由が薄い。榛葉氏が語っていたように、ソフトバンクならではの特徴付けがされた端末が登場することも、期待したいところだ。





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記事提供元 : ITmedia Mobile

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